チャグチャグ馬コ
チャグチャグ馬コは、煌びやかな飾りつけをした馬コに姉コ装束の女性や稚児が乗り手綱を男集が引き、滝沢村の蒼前神社から盛岡市の盛岡八幡宮までの約15キロの距離をゆっくり進むみちのく初夏の風物詩です。
昔々、端午の節句に農耕に疲れた愛馬を癒すためにお参りする風習がありました。それは南部曲がり家で家族の一員として大事に育てられていた馬たちの無病息災を願う人々の祈りがこめられています。
貴重な働き手であった馬たちを、盛岡地方では滝沢の蒼前神社が信仰の中心となり、愛しうやまいました。
馬の氏神をまつったお蒼前さまには、朝早くから色とりどりの飾りをつけた馬たちが集まってきます。
馬コが家族と共に参拝してから、9時30分頃歩くたびにチャグチャグという鈴の音を響かせて、盛岡へと向かいます。
岩手山を背に田植えの済んだ一面の青田の間をのんびり進む100頭を超える馬コの行進は、圧巻でもありまたのどかな田舎の風情を見せています。
田園地帯を抜け市街地に入ってくる頃、馬っこに乗っている子供たちの中には途中揺られながら眠ってしまう子もいたりして、ほのぼのとした情景を見ることが出来ます。
距離が長い為に何回かに分けて休憩を取ります。休憩場所のひとつである材木町では、毎週土曜日は「よ市」が行なわれています。
この日はいつもより早く「よ市」が始まり、夕顔瀬橋を渡って馬たちのひづめの音が聞こえてくると、賑わいもひとしおです。
「よ市」が行なわれている通り全体に馬と人があふれ、大勢の皆さんが着飾った馬たちに餌をあげたり写真を撮ったりと、それぞれに馬と触れ合っています。
中津川の中の橋のたもとでは川のせせらぎで喉をうるおし、草をはんだりしながらのんびりしています。一方、中津川に寄らないで一路八幡宮に向かう馬たちもいます。
石川啄木は、
『夜の明けぬうちから近郷の若者が馬を駆って参詣する。
昔の戦絵にある様な、紫、紅、朱、様々の美しい飾を
来た馬が鈴の音、嘶きの声、勇ましくホウを踏んで
暁の村路を急ぐ様は、さながら幾十年の歴史を逆上り
したかのやうに感ぜられる。乗手は、或はコサアク兵
の様な立派な若者、或は十二三の児の初乗、二八、
二九の少女である。若者は皆自分の馬の立派なのや、
乗方の熟練などをいと誇りかに見せて行く。
駄馬に乗った耻かしさ腹立しさに、無暗に鞭を加へて
人中を走せぬけて行くのもある。日に焼けた顔に
得意の笑を浮ぶる我が児の初乗に、あやまちあらせじと
気を揉んで馬の跡追ふ農家の父、新しい単衣着て、
紅白粉つけた新婦を乗せて、鈴の音清しく手綱とり
行く若き夫、いづれは皆「みちのくの詩」である。』
と、読んでいます。
宮沢賢治は、
『夜明げには
まだ闇あるのに
下のはし
ちゃんがちゃんがうまこ見さ出はたひと
ほんのぴゃっこ
夜明げがゞった雲のいろ
ちゃんがちゃんがうまこ 橋渡手来る
いしょけめに
ちゃんがちゃんがうまこはせでげば
夜明げの為が
泣くだぁぃよな気もす
下のはし
ちゃんがちゃんがうまこ見さ出はた
みんなのながさ
おどともまざり』
と、読んでいます。
「残したい日本の音風景百選」に選ばれているチャグチャグ馬コ
出発地点の鬼越蒼前神社へは、
バ ス:盛岡駅バスターミナル16番線から約35分、
無料シャトルバスが6時30分8時25分まで出ています。
タクシー:約20分
材木町へは盛岡駅から徒歩約5分です。
市内随所で交通規制があります。よく確かめてお楽しみください。
順路および通過予定時間
鬼越蒼前神社発 9時30分
青山町中央通り商店会着 11時
発 11時20分
材木町着 12時10分
発 12時30分
中の橋 13時40分
中津川に一部繋留
八幡宮着 13時55分
